福澤さんの悩みを共有してみよう

いろんな人に悩みをうちあけたら、「それは誰でも同じことだ」という旨を言われることが非常に多いなと思いました(なんかあまり親切じゃないですよね)。それならば、悩みを共有できる場を作って、少しでも多くの人が見せかけでも安心が得られるように、とブログを作ることにしました。

好きだったのに、ファンを上がってしまったアーティストさんのこと

「ファンを上がる」というのは、「ファンであることをやめる」「ライブやコンサートに行くのをやめる」と同じ意味だと思ってもらってかまいません。
よくバンドファンの用語で、ファンをやめることを、「上がる」って言うんですよね。

私は数年前、とある女性のクラシック演奏家のかたが好きで、よくライブやコンサートに通っていました。
新幹線に乗って遠方のコンサートにも行きました。
でも、あるとき、ぱたりとやめてしまいました(ファンをあがってしまったんです)。
普通、ファンをあがるというと、何か現場(ライブやコンサート、イベント会場など、生で聴きにいける場所のこと)で嫌なことがあったとか、ファン同士でトラブルがあったとか、単純に飽きたとか、アーティストの売り出し方針についていけなくなったとか、そういうのが多いと思います。
でも私は全然そういうのじゃなくて、何も嫌なこともなく、ファンの方たちも優しくていいかたたちばかりで、本当に大好きだったのに、平和で楽しくファン活動をしていたのに、ファンをあがってしまいました。

ファンを上がってしまった一番の理由というのは、その方が素晴らしすぎて、大好きすぎて、自分と比較をしてしまい、つらくなって、精神に悪い影響が出たからです。
その演奏家の方は私と同い年で、ルックスがずば抜けて優れていることはもちろんですが(それ故に事務所からアイドル的な売り方もされています)、演奏家としての経歴も大変輝かしく、その実績と経歴で外国の永住権も取得しているほどです。
そして、クラシック演奏家としてやっていけるということは、いいところのお嬢様なんだろうと想像しています(そうでなければ、幼少期から演奏家になるための専門のレッスンをうけたり、学業を修めたりすることはできませんし、商売道具である自分の楽器を所有することもできません。私立の医学部の大学など比べ物にならないほどの莫大な費用がかかります)。
一方私はというと、まず顔がひどい(この話はまたあとで書きたいけれども)。勉強もできないし、恋愛もできない、仕事もできない、なにもできないダメな人です。

家もお金持ちではありません。普通の家ではあったけれども、両親は、職業柄あるいは性格上、お金に関する考え方には大変厳しい人で、お金に余裕があっても、私を絶対に金銭面で甘やかさない人でした。
幼少期から、常に物欲が満たされず欲求不満になっていました(大人になってから買い物依存症になってるのはこれが原因なんでしょうか、わかりません、でも大学だけはどうにもならなくて、無理を言って私立に入れてもらったし、両親には感謝しています)。
それでも、その演奏家の方は、こんなダメな私にも、優しい言葉をいつもかけてくださいました。人格的にも大変すぐれているかたです。
優しい視線を、姿が見えなくなるまで、ずっと投げかけてくださいました。美しい言葉遣いと、美しい立ち居振る舞い、完璧です。
ひとりひとり、ファンの名前をおぼえてくださって、丁寧な神対応をされていました。
この演奏家の方の、超越した素晴らしい点を、ひとつ、またひとつ見つけるたびに、私は自分と比べてしまい、自分はなにひとつできていない、ダメな人間だと思いました。
そして、その方をみるたびに、その方が太陽のように感じて、すごく熱くて、私は焼け死にそうでした。
すごくまぶしくて、私は目をあけていられなくなりました。
どんどん活躍の幅を広げ、どんどん売れていく同い年のその方を、私は見ていることに耐えられなくなってしまいました。
とても理想的で、とても大好きな方なのに、自分と比べて、自分が本当にダメな人間だと実感するばかりで、苦しくて苦しくて、自分の心が耐えられなくなってしまって。コンサートから帰ってきては、つらくてつらくて、家でひとりで泣いていました。
いつか自分が「ちゃんとした人間」になれることがあったら、また会いに行けるのかな。
そう思いながら、もう何年もたっていますが、私はどんどんダメ人間度が加速している一方な気がします。同い年の、同じ女性の、同じ人間なのに。

もちろん、どんなにすばらしい人であっても、大きな悩み、つらい悩みはあるでしょう。
つらい秘密も事実もたくさん隠して、なんとか虚像を作って、人前に立っていることもあるのでしょう(私は想像もつきませんが)。
それでも、「すばらしい人」として、光り輝いてこの世に存在している人は、ただただ、すごい人だ、と尊敬します。自分もそうなりたい。
しかし、私はたとえ何かをがんばって、たとえウソで作り上げても、そんな存在にはなれません。

そういうわけで、大好きなのに、ファンを上がってしまったアーティストさんがいるんです。
昔、テレビをまともに見られなかった頃の感覚に似てるな。
テレビに出てる人と自分を比べてしまって。365日、ほとんどテレビをつけることができなかったなあ。

あのアーティストさんは今でも第一線でご活躍中だと、かつてのファンの仲間から聴きました。

なによりです。

 ↓今回の記事のできごとを思い出すきっかけになった、「れのみさん」のTwitterに載っていた四コマ漫画。れのみさんの四コマはいつもおもしろくて、大好きです。

 

生きてることが辛いなら

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